『ナチ親衛隊の狼女』


 本邦では『プラネット・テラー』『デス・プルーフ』二本立ての内容を各個バラ売りという形で劇場公開した『グラインドハウス』。このたびDVDのコンプリートBOXを購入し、ようやく完全な形で観ることができました。やはり通して観たほうが格段に面白かったです。そもそも「二本立ての三文映画を場末の映画館で観る」という行為を追体験させるべく作られた映画なんだから、やはり映画館ではオリジナルな形で観たかったなあ。

 コンプリートBOXで初めて観ることが出来た映像のひとつが、『PT』と『DP』の間に挟まったフェイク映画予告集。ロブ・ゾンビエドガー・ライト(『HOT FUZZ』の監督)、イーライ・ロスといった映画的に信頼できる方々が手がけているだけあってものすごくよい出来で、フェイクとわかっていても存在しない本編が観たくなってしまうような釣り動画の数々。

 なかでも僕が一番気に入ったのはロブ・ゾンビ監督の『ナチ親衛隊の狼女』予告。僕は好きな映画のシークエンスをせっせと書き起こすというなんら生産性のない奇癖があり、この予告も既に書き起こし済。そんなに長くないので以下にペーストしておきます。



―これは映画史に残る貴重な作品だ
ヒトラーが女囚を人狼に改造した“悪魔の計画”を暴く
―「ナチ親衛隊の狼女(WEREWOLF WOMEN OF THE SS)」

―ここは死の第13収容所。“人狼部隊”をつくるための……
「ハイル・ヒットラー!」
―悪魔の人体実験場
「この計画に失敗したらお前の命だけでなく第三帝国も終わりだ」
ヒトラー万歳」
「お前は選ばれた女だ。喜ぶがいい!」
「完璧な解決法です」
(ボンテージ姿のナチ女将校登場)
「“ペルザックの女狼たち”」
(上下全ラメの軍服で歌うブロンド女将校)

ヒトラーの狂った夢を叶えることはできるのか
ハーケンクロイツの焼印を押された女囚の悲鳴)
第三帝国は崩れ去るのか
(女囚にムチをふるうサディスティックな女将校)
「私の計画だ!」
「これからは我々が人狼を自在に操る」
「許せん!」
人狼登場。銃乱射。BGMに「喜びの歌」)
「静粛に!」

ウド・キア
シェリ・ムーン・ゾンビ
―トム・トウルズ
―シビル・ダニング
―ビル・モーズリィ
―そして―(銅鑼の音ひびく)
―特別出演 ニコラス・ケイジ as……
フー・マンチュー
ニコ「すべて私のものだ!(狂ったように笑う)」
―「ナチ親衛隊の狼女」
―脚本・監督 ロブ・ゾンビ


 ナチでオカルトで人狼で女囚で女将校でサドでラスボスがフー・マンチュー……って、僕ら低偏差値映画ファンの心をがっちりつかんで離さなすぎです。なにしろ映画の構成要素が、「ラーメン二郎」のトッピングでいったらカラカラカラメヤサイマシマシニンニクアブラ、みたいにジャンクなレベルで贅沢すぎて意味不明なことになっているのですから。なんだよそのトッピング。復活のじゅもんかよ!

 本編のフェイク予告のひとつ『マチェーテ』(ロバート・ロドリゲス)は本編の制作が決まったそうですが、僕としてはこの『ナチ親衛隊の狼女』もぜひ映画化して頂きたい所存。ぜひ観たい。というかぜったい観たい。超ナチってんよこれ! マジやばいって!
 ……。「ナチ親衛隊の狼女」って、タイトルをタイピングするだけでものすごく興奮して胸が躍るんですけど。べつに異常じゃないよね。みんなそうだよね?