主な登場人物

・ヒモロギ小十郎
中野の開化アパートに事務所を構える映画探偵。明晰な頭脳を駆使して「シネラマ島」の謎を探りつつ、たいしたことのない鑑識眼を駆使して映画感想を書きなぐる。感想中では内容のネタバレも辞さない(探偵だけに)。好きな映画は『激殺!邪道拳』。

・大林少年
名探偵ヒモロギに憧れ、故郷尾道から上京してきた少年。有能な助手ではあるが、探偵をあまりに崇拝しすぎるきらいがある。十二歳にしてカフェーに入り浸るという早熟さにも問題あり。好きな映画は『青春デンデケデケデケ』。

・鉄仮面
鉄製の仮面をかぶせられ、某家の土蔵に幽閉されている男。その素性は一切不明。過酷な境遇にあるが、週に一本だけ観たいDVDのレンタルが許されている。暗くて寒くて不衛生な檻の中には最新のBlu-ray/DVDプレーヤーと50インチプラズマテレビが完備。好きな映画は『パピヨン』。

・平良警部
警視庁捜査一課係長。職務に忠実な敏腕鬼警部であると同時に政府転覆を夢想する革命主義者。文明の思い上がりの象徴である物質文明主義はタイタニックと共に沈むべきと考えている。でもIKEAの家具は好き。好きな映画は『ファイト・クラブ』。

・修羅子と雪子
鉄仮面の隣房に幽閉されているシャム双生児の美女姉妹。姉の雪子は恋愛映画が好きで、妹の修羅子はホラー映画狂。好きな映画は『アニー・ホール』と『バスケットケース』。

・ナミ
カフェー「けもの部屋」につとめる寡黙な女給。復讐相手を求めていくつものカフェーを渡り歩く。好きな映画は『女囚さそり 第41雑居房』。

・怪人二十世紀FOX面相
二十世紀FOX社製以外の映画を殲滅せんと闇を駆ける稀代の大怪賊。好敵手のヒモロギとは幾度も対決している。悪事の天才であるが血を見るのがきらいで、子どもには一切危害を加えない。好きな映画は『ホーム・アローン』。