『怪談昇り竜』


 ♪せーなーでー、泣いてーるー、昇りー竜ー。ということで、僕が世界一かっこいいと思う女優・梶芽衣子さんと、僕が世界一くだらない映画を作る監督として尊敬している石井輝男監督がタッグを組んだ豪華な作品です。なんというカルト的に最強な組み合わせ。ゲーム業界でいったらスクウェア・エニックスみたいなものですね(ちがうかもしれない)。

 なおかつ本作には『恐怖畸形人間』に続いての“せむし男役”で暗黒舞踏の大家・土方巽大先生が暗黒大出演されているのだから凄まじい。ゲームで喩えるなら『クロノ・トリガー』のようなものですね(ゲーッ、堀井・坂口のドリームタッグにくわえ、鳥山先生がキャラデザだってーッ! ……などと、あまりの豪華さに当時の僕はおどろきすぎておしっこを漏らし、手から落としたファミ通をしとど濡らしたものでした)。

 こんなに豪華でソリッドな作品なのに、「めくら」とか「せむし」とかいう台詞が頻出するせいなのかDVD発売は海外のみという無体な仕打ち。誰がこんな暗黙のルールを設けたのか知りませんが、およそ愚かなあきめくらの所業といわざるをえません。

 背中の刺青が合体すると一匹の竜の絵になる、というふざけたギミックに代表される間違ったグルーヴ感でまとまった立花一家が敵対やくざやめくらやせむしにいじめられてヒドい目に遭う、というのが大まかなストーリー。立花一家の女親分役が梶芽衣子さんなのですが、梶さんがまた美しくてねえ。『野良猫ロック』シリーズと同時期、『女囚さそり』や『修羅雪姫』でヒットを飛ばす少し前だから、恐らく22歳頃に撮られた作品でしょうか。若き梶さんは若干ふっくらしている感があるものの、人を射殺するような鋭い眼光は既に完成形。この年でやくざの女親分を余裕で演じきってしまうなんて、どんだけクールビューティーなんだ! 大好きだ! 大好きすぎて、僕の車のナンバープレートは『女囚701号・さそり』にちなんで701なんだ! 701ナンバーのX-TRAILには梶芽衣子萌えのヒモロギさんが乗っているので、街で見かけたら大声で呼んでみよう! カーステで『男たちの挽歌』のテーマをエンドレスでガンガン鳴らしているからきっと気づかないけどね!

 土方大先生(せむし男役)も相変わらずの怪演ぶりで素晴らしいなあ。跳んだり跳ねたりじーさんの顔をぺろぺろ舐めたりと、必要以上の大活躍。せむしくんのジャンプ天国。ドスで刺されて死ぬときも暗黒舞踏を手先で軽く踊ってから死ぬあたりがお茶目でかわいい。それと、めくらに怒られた時のせむしの台詞「許ってくらちゃい、そればっかりはゆるってえー、ゆるってえー、ゆるってネー!」が僕の中で今ものすごく流行っているので、こんど先生やお母さんに怒られたときにマネしてみようと思います。ゆるってネー。とか言ったりなんかして。