『ワンダとダイヤと優しい奴ら』


 ロンドンの銀行を襲撃した強盗チームが手に入れたダイヤをめぐり各種悪知恵や浅知恵を働かせたり働かせなかったりする英国風味クライムコメディ。英国風味というよりもモンティ・パイソン風味といったほうがよいかもしれませんね。どもりのキャラが徹底的にいじられたり、動物愛好家の男がまちがって犬を何度も何度も殺してしまうネタなんかはまさにモンティ・パイソン的。

 本作がモンティ・パイソン風なのは、パイソン一味のジョン・クリーズらが製作・出演しているのだから当然のこと。僕はこのジョン・クリーズさんが大好きで、2メートル近い長身にも関わらず俊敏な動きでバカなことをするのがどうにも面白い。「モンティ・パイソン」の名作スケッチとして必ず名前のあがる「バカな歩き方省」なんかは大傑作で、何度見ても笑えるものなあ。

 僕はジョン・クリーズという生き物が動いているのを見ているだけで楽しいので、したがってこの映画もとても楽しい。動いているのを見ているだけで楽しい生き物なんて、ジョン・クリーズの他にはあまりいないんじゃないかな。うーん、強いて挙げれば、あとはブルース・リーと、土方巽と、あとは奇蹄目になっちゃうけどクロサイとかインドサイくらいかなあ。

 話は逸れまくりますが、僕はサイという生物が動くのを見るのが大好きでして。上野動物園にふらふら出掛けては、飽かず西園のヒガシクロサイとかを観察したりしています。
 サイはねえ、とにかくかっけーんですよ。なんていうんだろう、オスの原初的本能的なサムシングをガツガツゆさぶるかっこよさっていうの? レッドホーンというゼネバス帝国軍サイ型ZOIDSが既に存在しているにも関わらず、同じくサイ型のブラックライモスが新たにリリースされたというトミーの販売戦略からもうかがい知れるサイの絶大なる男子人気。男の子ならみんなサイのかっこよさがわかるよね。やつらときたら恐竜臭ムンムン、21世紀の御代にもなってあのフォルムはぶっちゃけありえないよね。ありえないくらい無骨でかっこいいよね。体の中心軸にセットされ突進時には決してブレることなく獲物をロックオンして刺し貫く巨大で凶悪な角、鉄板より硬い装甲(誇張表現ではない!)で覆われた全身、そして悲しみと殺意のこもった狂気の眼差しはまるで公儀介錯人・拝一刀のようだよ。かっけーなー! かっけーなー! しかもこいつら動くんですよ。あの武装とあの重量にもかかわらず自立し、なおかつ時速50キロで走るとかマジありえんですわ。造物主はいったい何をしたかったのか。悪ノリがすぎるのではないのか。おお神よ。なぜこんな殺戮マシンをお造りになられたのか神よなぜ。敬虔な信仰心さえ揺らがしかねないその悪魔的デザイン。かっこよすぎるうえに強すぎる。サイと人間が戦争をしたら人間が負けるような気がしてならないので、万が一にもそのような紛争が勃発せぬよう国連には頑張ってほしい。世の中にサイの国があるのかないのか、あったとして国連に加盟しているのかしていないのか僕はよく知らないけれど。

 とまあ、ジョン・クリーズモンティ・パイソンの話をするつもりが、ほとんどサイの話に終始してしまい御免なサ(公序良俗を乱すレベルの駄洒落に付き検閲削除)