『ビルとテッドの大冒険』

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 パーティ・オン・デュード!

 ということで、『ビルとテッド』シリーズは僕の大好きな作品の一つなんです。コンセプトは「BOGUS! トンマだらけの『ターミネーター』大会」とでもいうべきか。
 ストーリーは、未来のカリスマバンド「ワイルド・スタリオンズ」のメンバーであるビルとテッドがビッグになる以前の高校時代のお話。二人は超のび太級のボンクラで、次回のレポート発表でいい点を取らなきゃショボいバンドも即解散。そうなると歴史が変わるってんで、未来人がタイムマシンに乗って歴史のレポート発表を手伝いにやってきます。バカ二人はタイムマシンを使って歴史上の偉人を次々に拉致し、現代に連れて来てみんなの前で見世物にしようと画策。このへんの発想からして既にバカだと思います。ひみつ道具の使い方がのび太級。何やってんだのび太くんっ、「もしもボックス」と「タイムマシン」と「とりよせバッグ」があるのならっ、どうしてっ、どうしてその現状に甘んじているんだっ! 市場を先読みし株式を操作し世界の至宝をかき集め、己をとりまく世界全てを構築し直す力まで持っているのに、なぜそれをしないッ!? なぜもっと賢く立ち回らないッ!? みたいな歯がゆさ。

 かくして、バカ二人がかき集めた偉人もおしなべてバカばっかりで、ナポレオン、ビリー・ザ・キッドソクラテスジャンヌ・ダルク、ベートーベン、チンギス・ハーンリンカーンといった豪華な顔ぶれのはずなのに、彼らは現代のショッピングモールでバカな問題行動を繰り返し全員留置所へ収監される始末。チンギス・ハーンに至っては「ウガー」的な獣言葉しか喋らず、手にしたバットで店内のマネキンを破壊して回るというかんじで、現代の価値観から評価するに彼は単なるきちがいウォリアーです。アメリカ人がアジア史をきちんと理解してくれているのかどうか甚だ心配になってきます。

 いや、違うな。今わかった。この映画は「歴史はバカに作られる」ということを僕らに教えてくれているのであり、つまり、僕らはバカのままでいいと、そういうメッセージが込められているにちがいない。そうか、バカのままでよかったんだ僕たちはっ! だって偉人もみんなバカだったんだもの! 「バカであれ」、そのメッセージ、しかと受け取ったゼッ! ハーッ(天空高くジャンプ)! トターッ(中空でクルクル回転)! 俺が「もしもボックス」を手に入れたら、株式操作とか世界の神として君臨とか、ほんとはんなもんどーでもよくてッ! ……俺が「もしもボックス」を手に入れたらッ、俺はしょこたんの家の飼い猫マミタスの内側に入り込んで人間猫となり、しょこたんの日常生活(ネットでやらしい言葉を検索したりしているらしい)を猫の視点から垣間見るという背徳的欲望を充足させつつ、密かにしたためた猟奇的手記をしょこたんに送りつけて「ギザオソロシス(´;ω;`)」とか言わせてやるゼーッ(空中で手足を大の字に広げ、太陽の光を背に受けつつ高らかに宣言)! パーティ・オン・デュード! イエー!