『プラネット・テラー in グラインドハウス』


 みんな「俺の一番好きなアルファベット」というのを各自心に抱いていると思うのだけれど、僕のオレアルはもちろんB! やっぱBだよね。BB弾、BB戦士、B3グフ(ノリス機)、Bカップ、そしてB級映画と、Bには僕を魅了してやまないサムシングがある! 

 かくもすばらしきB! とりわけB級映画のすばらしさというものを今日僕は新宿武蔵野館で再確認してきたので今ここに報告します。『プラネット・テラー』、この映画こそキングオブB級映画だ!

 ゾンビ的なサムシングに襲われる悲運のテキサス(またか)! 生き残ったゴーゴーダンサー、解体業者、食堂のおやじ、保安官、女医、アバズレその他もろもろはそれぞれの過酷なドラマを経てひとところに集まるのだがそのへんはフィルムが消失しているという設定のためまるまるカット! あとはもう、ゾンビと戦い、軍隊と戦い、流血、爆発、大惨事! といったかんじの快楽至上主義娯楽大作。すばらしい。何がすばらしいって、この作品に充満する石井輝男濃度が大変なことになっているんです。脱力必至のご都合主義、大真面目に演じられるおまぬけシーン、おもに男子小学生をターゲッティングしたシモネタ、あまりに奇怪でもはや笑うしかないアクションシーン等々、これでもかというほどに輝男汁全開。つゆだくすぎるというか、メシがどこにあるかわからないくらいにだくだくだよ!

僕が好きな輝男汁つゆだく名場面
・切断した右脚にM16マシンガンをくっつけたゴーゴーダンサーは、M16の噴射力を利用して空を飛ぶ!
・映画前半で手の骨を折った女医は、最後の戦いの前に気合を入れたらとつぜん完治!
・女医が太腿に仕込んでいたのは、麻酔注射を発射する特製銃(いったい何のために!?)!
・ゴーゴーダンサーの彼氏がとつぜん魅せるカンフー・アクション(壁を駆け上ったりする)!
・子供用のポケバイを駆ってゾンビと戦うゴーゴー彼氏!
ひみつ道具「睾丸切り取りハサミ」で切り取った睾丸をコレクションする科学者!
・ゾンビ化したらおちんちんが腐って落ちたタランティーノ

 なんというBっぷり。なんというテルオっぷり。もうたまりません。僕はやっぱりB級映画が心底大好きです。あまりにBが好きすぎて、おそらく今の僕がナパーム・ストレッチを繰り出したら、技をかけられた相手の胸には強力な空気抵抗により「B」の文字が浮き出ることでしょう。ゲーッ なんで左右非対称ーッ!?

 しかし、今月の新作映画は豊作でした。そもそも『デス・プルーフ』『プラネット・テラー』そして『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』と、タランティーノ先生の出演作が三作もあったというのだから狂ってる。この調子で秋以降のB映画界も狂い咲きサンダーロードし続けてほしいものです。ちなみに、僕が期待している今秋のB-MOVIEはタイ映画『ロケットマン!』です。ムエタイ・ファイターが巨大ロケット花火に飛び乗り桃白白感覚で敵陣に攻め入っていくというアホ丸出しの映画です。僕は常々タイ人はアホだアホだと思っていたけれど、まさかここまでアホだったとは!