『飛べ! フェニックス』

 輸送機が砂漠のど真ん中に緊急不時着。機体は中破。飲料水はたったの十日分。ルート大逸れで助けが来る気配もなし。周囲にはラクダに乗ったはぐれ殺戮アラブ部隊がうろうろ。しょうがねえやってんで半壊した飛行機から使えるパーツを寄せ集め、BB戦士改造感覚で新たなる飛行機を造ろうとするむくつけき男たち。男たちはいがみ合い衝突を繰り返しながらも一つの目的のために心を一つに合わせ、やがて男たちの執着心を乗せた「フェニックス号」は、今、大空へ、飛び立つ! といったかんじの激燃えストーリー。おもしろかったです。

 この作品には、僕の好きなタイプの映画に共通する匂いがぷんぷんします。それは男臭さであり、要するに女、女性、女子、ナオン、スケといったたぐいの生物が一切出てこないということ。この基準を満たしているだけで、その映画は僕基準においては既にBプラス以上の高評価が確約されています。逆に言うと、女が出てくると話がダレちゃうんですよね。男と女がくっつきました、いや待った、くっつきつきそうだったけどくっつきませんでした、と見せかけてやっぱりくっつきました、と見せかけて男の罪深きわがままで二人はケンカしてしまったけれどそれを許さないのは女の罪でした、みたいな話が必ず差し挟まれてしまうじゃないですか、女が出てくると。いいかげんそういうのうっとうしい。そんな惚れた腫れたの珍騒動なんかこちとら至極どうでもいいんだ。機知に富んだ純粋な活劇を楽しみたくてこちとら映画を観てるんだ。オマケ程度の恋愛とかロマンス要素なんてものはすんごいうざい。うざすぎる。

 そこへいくとこの映画は素晴らしかった! 登場人物はオールおっさん大進撃! 男機長、男医師、男技師、男大尉、男軍曹、男怪我人、男きちがい、その他男、男、男! そんなヌ濃い男たちがいがみ合い、協力し、何人かは壮絶な死を遂げ、そして生き残った男たちは大きな仕事を成し遂げて、最後の最後にひげと砂とでわしゃわしゃな顔をほころばせて笑うわけです。たまらんなあ。恋愛要素などという不純物の入っていないまじりっけなしの男映画は本当にたまらんです。僕が『大脱走』『アルカトラズからの脱出』『暴力脱獄』等の脱獄もの映画をこよなく愛するのもこういう理由によるところが大きいです。見よこの純粋な面白さ。男だけ映画さいこう!

 なんてことを書くとなんかホモっぽくて困るなあ。なんか僕、ここ数年来ステディーな関係の女子がいたことがなく、浮いた話のひとつとしてなく、いい加減周囲からホモかなんかだと思われているに違いないと怯えているのですが、こんなことばかり書いているとますますホモ容疑が濃厚になってしまう。そういえば、僕の部屋の引き出しの奥にはゲイ用アダルトDVD(男×男)が何本か隠してあり、これは勿論僕の私物ではなく、ゲイの友人がなぜか僕の家にやって来て勝手にしまっていったものなのだけれど、こんなものが第三者に見られたりしたら、僕は抗弁の余地なく真性ゲイの烙印を押されること必定であり、大変危険な代物なので是非窓の外へと投げ捨てたいのですが、人の物を勝手に捨てるのも申し訳なく、大変困っています。というか人の家をエロDVDの隠し場所として活用するゲイの友人は、常識的にいってとてもよくないと思う。とても間違ってると思う。早く取りに来て欲しいと思う。