『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』


 べつにエヴァオタというほどの者ではないのですが、90年代後半をモラトリアムって過ごした人間にとっては避けて通れない作品である『エヴァンゲリオン』。新作劇場版が公開されるとあってはやはり気になり、公開初日に観てきました。

 ビジュアル的に物足りなかった劇場版『Zガンダム』とは異なり、全てが新作カットの本作。全編描き起こしというのはやはり嬉しいものです。当然ながら作画は旧作・旧劇場版と比べて格段に綺麗になっており、アニメの進歩ってすげーなーとつくづく感じました。ストーリーは旧作に忠実なものの(今回はヤシマ作戦の「笑えばいいと思うよ」のくだりまで)、細部でかなりの相違はあるようです。オタじゃない僕が確実にわかったのは、新劇場版ではレイの着替えサービスシーンが質量共に大充実していたなあ、きれいな作画で先端部までおもいっきり見せていたなあ、ということくらいでしたが。しかし綾波かあ。何年たってもやっぱ綾波はいいよね。

 綾波は相変わらず綾波でしたが、シンジも相変わらずウジウジのままでした。何年経ってもこの子ときたら本当に。NERVは彼に極真空手を習わせるべきだと思います。ミサトさん極真空手第3新東京支部にシンジを入門させるべきだと思います。シンジに極真空手精神をたたきこめば、天井を見上げては呆けたことばかりほざく曲がった心もまっつぐに修正され、「逃げちゃダメだよキミィ!」「笑えばいいと思うよキミィ!」「使徒より強いのはアリクイだよキミィ!」などと口調や話す内容まで大山倍達総帥に似てきて、そのうえEVA搭乗時はビール瓶さえ切断する鋭利な手刀で使徒のATフィールドを切開し、けんか空手の直接打撃攻撃で敵をぶち殺す、といった活躍バカ一代が期待され、お、それいいじゃない、主人公が空手家だなんて今までのロボットアニメにはみられなかった斬新でナウい設定じゃない、と思ったのですが、よく考えたらそれではただの『闘将ダイモス』であり、ナウいどころかむしろ時代が20年ほど退行してしまうことに気づきました。やっぱりシンジくんはウジウジのままでいいと思います。余計なことを言ってすいませんでした。

 本作で一番盛り上がったのは、実は次回予告でした。なので、これから観に行かれる方は宇多田ヒカルED歌が終わるまで絶対に席を立つべきではありません。予告映像終了後、一拍の静寂をおいてから館内全体が大きなどよめきに包まれ拍手喝采まで巻き起こっていました。たしかに、あんなもんを見せられたら次回作も見に行かざるをえないですよ。ずるい。
 ともあれ、次作の『破』を楽しみに待ちたいと思います。すばらしい。