『椿三十郎』(前頭)

椿三十郎 [DVD]

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 今日はクリスマスだったのですが、べつに予定もないので家にこもってずっとWOWOWを観てました。『34丁目の奇跡』『クリスマス・キャロル2001』『サンタクロース・リターンズ! クリスマス危機一髪』を連チャンで鑑賞。ははははは。勉強になった。クリスマス映画をぶっ続けで観ると頭がおかしくなることが身をもってわかりましたよ。なにがクリスマスだ。なにがサンタだ。そんな奇祭に僕を巻き込むな。ばかにしてんのか。そうやってますます殻にこもる僕の心。


「どうもこんばんは。メリークリスマス」
「あなたは誰ですか?」
「私は過去のクリスマスのゴーストです」
「思い出したくないので帰ってください」
「あっ、はい」
「メリークリスマス」
「あなたは誰?」
「私は現在のクリスマスのゴーストですよ」
「帰れ」
「あっ、はい」
「どうも、わたしは未来のクリスマスの……あっ、ちょっと、なに真言なんか唱えてんの!? 正気かよ」
「ナウマクサマンダ、バサラダンセン、ダマカロシャダソワヤタ」
「ちがうちがう、悪霊じゃないし。僕はただ凝り固まった君の冷たい心を……あ、やばいやばい、成仏しちゃうからほんとやめてマジで頼むから」
「ウンタラタ、カンマーーン! はーっ! 死ねーっ」
「ぎゃーーー」


みたいなかんじ。僕の心情としては。

 不動明王の呪力を用いて小うるさいクリスマスゴーストを調伏してやったのはいい気味だったのですが、クリスマス映画連続鑑賞で中毒症状を起こしてしまった身体を治すために真っ当な映画を観なくては……ということで取りいだしましたのが『椿三十郎』。面白かったなあ! 悪い侍どもどころかそんなに悪くない手下たちまでバッタバッタと斬り殺す三船敏郎こそが僕のこころのサンタクロースだイエーイ。クリスマスにはもうビール腹の鈍重なサンタとか必要ないので、代わりに素浪人の風体をしたミフネが家の中にズカズカと入ってきて、ベッドに吊るしたクツシタを必殺の逆抜き不意打ち切りで真っ二つにして「あばよ!」と去っていくシステムに変更して欲しいものです。とりあえず「本当にいい刀は鞘に収まっているものだ」とミフネさんに諭されたので、僕もサンタ死ねとかクリスマス死ねとかカップル死ねとかいうギラギラした抜き身刀的発言は極力控え、かっちりサヤに収まって生きていきたいと思うんです。本当にいい刀を目指す男だからこんなことも言えちゃうよ。世界中の人たちにメリークリスマス! みなさんがすてきなクリスマスを過ごしますように! なんてね! ちなみに僕はこのクリスマスに一人ぼっちで四本の映画を観たよ!