『悪魔のいけにえ2』(十両)

悪魔のいけにえ2 [DVD]

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 えんえん続く不快な恐怖感と小さじ一杯の滑稽さ、という絶妙なバランスで構成された前作『悪魔のいけにえ』はまさに名作。そんな『1』を初代ガンダムに例えるならばさしずめ『2』はGガンダムといったところです。パロディでありキッチュであり誇張でありそれでもって面白い。ぼかあ好きだなあ。だってさ、レザーフェイスのアジトが「テキサス・バトルランド」なんだよ! かかか、かっけー! そのバトルランドに三刀流チェーンソー装備で乗り込んでテキサスバトるデニス・ホッパー! これでもかといわんばかりの安易な落とし穴に落とされ、あげく剥がしたてホヤホヤの同僚の顔の皮をかぶされる幸うすきヒロイン! 『8時だヨ! 全員集合!』のステージコントにおける志村けんのごとくいちいち壁をつきやぶって大登場するレザーフェイス! うわー、楽しいよう! テキサスは地上最後のバカの楽園だよう!

 さて今回のヒロインの名はストレッチ。ラジオ局のDJです。公共の電波を乱用し余計なことをしたばっかりにヒドい目に遭うという、『太陽を盗んだ男』でいえば池上季実子みたいな役回り。お前はマンドラゴラか! と言いたくなるほどキャーキャー騒いでくれちゃう彼女ですが、終盤は彼女もチェーンソー装備で勇壮にテキサスバトります。それにしても主要人物の使用武器がぜんぶチェーンソーというのはすごいですね。『ソウルエッジ』もハダシで逃げ出すエッジぶり。
 
 なにからなにまでチェーンソーづくめ、テキサスチェーンソーまつりといっても過言ではない本作ですので、エロティックなシーンにもやはりチェーンソーが添え物として登場。ストレッチを追い詰めたレザーフェイスはなぜか意味もなくそばにあるストッカーを破壊し中の氷とマウンテンデューを砕きまくり、ストレッチの全身はずぶぬれに。濡れたストレッチの太ももによってヱタ・セクスアリスが発動したレザーフェイス(推定三十路)はチェーンソーの刃を彼女の足に這わせ、次第に上へ上へと這い登っていくわけです。太ももと水滴とチェーンソーという取り合わせが妙に隠微でエロティック。この映画を観ているとなんかもうだんだんチェーンソーという道具が万能に見えてきてしまいます。強いしエロいし、オプション機能で木も切れる。「無人島に一つだけ持っていくとしたら?」の問いに「チェーンソー!」と笑顔で即答してしまいそうな自分がこわい!
 レザーフェイス股間にかまえたチェーンソーをピストン運動させ、彼の中で何かが達した瞬間チェーンソーのエンジンをブロロロロンとアクセルオンするのでした。僕にはなんの隠喩かまったくわかりませんが、たとえなんの隠喩にしたってこれはちょっとパワフルすぎるゼー!