『妖婆 死棺の呪い』(幕下)

妖婆 死棺の呪い [DVD]

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 ふとしたことから魔女に命を狙われるハメになった神学生ホマーは三晩続けて彼女と対決するのだが……といったかんじのロシア版『稲生物怪録』。 あのう、妖怪となまぐさ坊主しか出てこないんですけど、この話の原作ってホントにあの文豪ゴーゴリなんですか?

 バトルフィールドは古い教会の中。第一夜、魔女はホマーがてきとうに描いた結界円の中に入ることが出来ず、ペタペタペッタンと上手なパントマイム芸を披露してすぐに退散。第二夜、空飛ぶカンオケをGファイターのように乗りこなし結界に体当たりする魔女。しかし結界は破れず、決着は最終夜へ。そして怒涛の第三夜、魔女は魔界の眷属をゾロゾロと召喚! 目ん玉がいっぱいついたクリーチャーやら、日本妖怪ぬっぺっぽうを近接パワーキャラとして育成してみました的なクリーチャーやら、果ては小人に白塗りを施しただけの暗黒舞踏アングラ系クリーチャーまで、楽しいな、楽しいな、夜はチャーチで運動会! うわーい、なんだか『妖怪百物語』みたいだよう!

 しかし本当に本当にほんとうにこの映画の原作は文豪ゴーゴリさんなんでしょうか。僕はゴーゴリなんつうゴツゴツと文豪めいた名前の響きだけで既にアレルギー反応を示し、彼の代表作である『外套』も『鼻』もまったく読んでおらず、あらすじさえ知らないのですが、どうもこのゴーゴリという人は、この映画を観るかぎりにおいては本朝における水木しげるみたいな作風の人らしい。ということは、ということはですよ、『外套』という作品は「ご先祖の霊毛で編んだ外套をくらえーっ」「うわーっ」「ははははは」みたいな話だったり、『鼻』は「おいっ、大変だっ、向こうの紀伊国坂に鼻しかない女が……」「といいますと、こんな顔で……」「ひえーっ、おたすけーっ」みたいな話だったりするのかもしれませんね。やばい、読みたい! 僕ぜったいゴーゴリ読むよう!

※上記の文章を書き終えてから検索をかけてみたところ、おりしも今東京では「Oh!水木しげる展」の連動企画として本作が特別上映中らしいですね。水木サンも本作から影響を受けたとかなんとか。すごいや、僕の着眼点って思ったほどまちがってないじゃないですか。