『トラ・トラ・トラ!』


 先の大戦の戦端となった真珠湾攻撃に至るまでの時々刻々たる経過を、日本軍・米軍双方の視点から交互に描くターン制ウォー・シミュレーション・ゲーム。もとい、ターン制日米合作映画。視点も公平中立だし、一応は日本の勝ち戦の状態で話が終わるので、スーパー右翼の僕としては観ていてストレスがたまりません。そのうえ、CGを使わないむかしの戦争映画はほんとうにかっこよろしいです。登場する兵器の実機がどれもかっこよろしい。CGなしでは立ち行かない今後の映画界にあって、本作は戦争映画の傑作として永遠に語り継がれていくんでしょうね。CGなんてちょろいのなんの。われに追いつくグラマンなし!

 兵器といえば。世間でどれだけの認知度があるのかわかりませんが、僕が好んで読む雑誌のひとつに「MC☆あくしず」というのがあります。いちおう軍事系の専門誌なのですが、それに萌えのテイストが過剰に投入されているのでものすごくおかしなことになっている「ハイパーミリタリー美少女マガジン」。この雑誌に登場する軍事兵器は例外なくかわいい女の子に擬人化されており、たとえば雑誌の特集記事をいくつか拾い出してみるとこんなかんじ。

「特集 海軍航空隊が誇る超お嬢様☆零式艦上戦闘機 ―零ちゃんといっしょに戦ろうよっ!―」
……「ミリオタなら誰でも一度は『零戦が美少女だったら!』と考えたことがあるに違いない。」という記事の前提からしておかしい。ものすごくおかしい。

「特集 日本戦艦は箱入り娘!? ―内気なあのコは日本の誇り―」
……大艦巨砲主義ということで「大和」は巨乳美少女として描かれます。ちなみに「扶桑」はドジっ娘で「長門」はアイドル系美少女。そして「伊勢」が巫女さん。言われてみるとたしかにそんな気がしてくるところがすごい。人間の想像力には脱帽せざるをえない。

「特集 九七式中戦車 チハはせつなくて敵陣を想うとすぐ躍進射しちゃうの」
……これが最新号の特集記事。というか、いったいどんなタイトルだよ。もう完全に病んでますね。その他「チハたんとちゅっちゅしたいよぉ〜」とか「いやあっ……らめえっ、湿式弾薬庫から水が漏れちゃう……」とか狂人でなければ思いつかないようなエロキャプションも散見されます。戦争の狂気をかくも印象付けられたのは『戦場にかける橋』を観て以来だぜ。マッドネースッ!


 この雑誌ではありとあらゆる軍事情報が萌え化されており、航空機や戦車はもちろんのこと、銃器やエースパイロットまでも徹底してエロ美少女化。読めば読むほど頭がおかしくなります。僕もこんな雑誌ばかり読んでだんだん気がふれてきたせいか、空母「瑞鶴」ちゃんの抱き枕がだんだん欲しくなってきました。“空母を抱いて寝る”という奇怪な発想と歪んだ欲望。いまこの日本では、ある文化がいよいよ爛熟期を迎えてしまったようです。

 戦争にまつわるすべての事物を萌え化するという危険思想。こんな雑誌を祖国のために戦って散っていった英霊たちに見られたらきっとマジギレされて祟られるに違いないので、みんなも「MC☆あくしず」を仏壇のそばに置いたり九段下方面に持って行ったりしないようにしようね!